Topics
「デジタル疲れ」の反動? いまオフライン広告(OOH)が再評価される理由
オフライン広告への注目が高まっている
スマートフォンの中にはSNS広告やディスプレイ広告があふれ、広告ブロックアプリを使うユーザーも珍しくなくなりました。そうした「デジタル疲れ」の反動として、いま改めて注目を集めているのが、駅や街頭で見かける屋外広告・交通広告、いわゆる「OOH(Out Of Home)」です。
不特定多数に届けられ、ターゲットを絞り込みにくいというデジタル広告にはない特性を持ちながら、印象的なビジュアルであればSNSに投稿され、広告に直接触れていない人にまで拡散していく。この「オンラインでは生まれない体験」こそが、OOHが再評価されている最大の理由です。実際に2026年のOOH市場は成長が見込まれており、新聞・雑誌といった従来型のアナログ媒体が縮小傾向にある中でも、確かな伸びを続けている数少ない媒体となっています。
「触れる」「体験できる」広告が強い
海外の最新事例を見ると、単に目立つビジュアルを出すだけでなく、通行人が「触れる」「参加する」ことを前提にした施策が目立ちます。イギリスの通信キャリアが展開した、抱きしめられるほど柔らかい質感の看板は、価格を据え置くという誠実な姿勢を、視覚だけでなく触覚で伝える試みでした。スマートフォンの画面の中では決して味わえない、物理的な手触りや身体的な体験こそが、アナログ媒体ならではの強みだといえます。
また、街中に既にある他社の広告の隣や下に、あえて自社広告を掲出し、隣り合う内容を「前振り」として利用する海外の事例もあります。看板同士が物理的に並んでいるという配置そのものをメディアとして活用する発想は、デジタル上のバナー広告では成立しない、OOHならではのアイデアです。
日本国内でも広がる「SNSで話題化する」設計
日本国内でも、SNSでの拡散を前提に企画されたOOHが数多く登場しています。人気コンテンツとのコラボレーションで話題化を狙う駅広告や、ファンが自ら足を運んで写真を撮影したくなるような記念性の高い掲出など、「見た人が思わずSNSに投稿したくなる」仕掛けが工夫のポイントになっています。
さらに一歩進んだ手法として、広告の一部を実際に剥がして持ち帰れる「ピールオフ広告」のように、参加自体をコンテンツ化する事例や、SNSで集めた写真・楽曲といったユーザー投稿(UGC)を、そのまま屋外広告として展示する事例も見られます。オンラインで生まれた盛り上がりをオフラインの場に持ち込み、そこで生まれた体験を再びSNSで発信してもらう、という循環を設計している点が共通しています。
オンラインとオフラインを組み合わせる視点
OOHは「認知の入口」として位置づけ、そこからオンライン施策につなげていく設計が重要になります。屋外広告設置エリア周辺にいたユーザーに対して、後からSNS広告でリターゲティングをかける手法もすでに実用化されており、「OOHで認知してもらい、スマートフォン広告で購買意欲を高める」という、オンラインとオフラインを横断した設計が標準的になりつつあります。
まとめ
デジタル広告が飽和し、ユーザーが広告そのものに疲れを感じ始めている今だからこそ、街中で実際に「触れる」「体験する」ことができるOOHの価値が見直されています。単に目立つビジュアルを掲出するだけでなく、SNSでの拡散を前提とした企画設計や、オンライン施策との連携まで含めて考えることが、これからのオフライン広告活用の鍵になりそうです。
参考リンク
- 2025年下半期に話題になったOOH15選(MarkeZine) ― OOH市場の成長率など
- 「デジタル疲れ」を逆手に取るアナログOOH海外事例(大阪メトロアデラ) ― giffgaffの抱きしめられる看板、loveholidaysの隣接広告事例
- SNSで話題になった屋外広告(OOH)事例15選(ガイアックス)
- OOHとは|SNS時代の屋外広告戦略・事例(テテマーチ) ― BARTHのピールオフ広告・UGC活用事例
- 街角で見かけるOOH広告の魅力(Technicsのキーホルダー事例)
- 屋外看板広告(OOH)の効果を最大化する7つの戦略(Ad-Virtua) ― DOOH×リターゲティングの解説